秋登山-紅葉時期の札幌円山に週に3回登った話




これは札幌に住んでいた時に紅葉時期の円山に週3で登った話。

札幌には「円山」という山があり、その麓一帯の地域名も同じ円山となっている。

札幌市中央区の西側にあるセレブエリアに位置する。

その地域には有名なパンケーキのお店があったり、数々の高級レストランがある。

東京でいうと代官山や白金台といったところかな。

円山の麓には北海道神宮があり、併設されている円山公園は札幌中心部で手軽に季節を味わうのには持って来いの地元民の憩いの場所だ。

春はお花見、秋は紅葉狩り、たくさんの木々は季節それぞれの表情を見せる。

 一日として同じ日がない山の表情

2~3年前の秋が深まってきたある時、たまたま海外への放浪前か何かで1週間くらい仕事をしていない時期があった。

家からチャリで15分くらいで円山に行けて、かつ円山の頂上までも30分程で登れる為、気軽な散歩にはもってこいなのだ。

スポーツの秋だ。運動がてら一人円山散歩をすることに。

お一人様登山をした後日、立て続けに友人に円山登山に誘われて結局一週間に3回円山に登るはめになってしまったのだ。

行ったからいいやって断らなくて本当によかった。

だって、山って毎日違うんだってことに初めて気付けたから。

いこにとって、この体験はかなり大きい。

後に、京都でヴィパッサナー瞑想のプログラムに参加したときに『体の感覚を通して無常を理解する』ってことを教えてもらったんだけど、振り返ってみるとそれに通じる気付きだったなと思う。

ヴィパッサナー体験記はこちら

紅葉の時期の円山は、黄色や赤の葉っぱに加え金色の光がなんとも言えない神々しさを放っている。

間違いなく円山、北海道神宮などあの辺り一帯は札幌のパワースポットのひとつだろう。

さて、円山に登ろう。

円山は225mと、かなり小ぶりの山。普通の体力の人でも30分あればだいたい登れてしまうくらい。

いこはというと、アウトドアウェアを着込み当時買ったばかりの使いこなせもしない一眼レフを首から提げて格好だけは一丁前の山ガール。30分で登れる山なんて『登山』と言っていいのかもわからんが。

ちょうど紅葉まっさかりの時に入った山道は、黄色や赤の落ち葉がしきつめられていてふかふかと柔らかい。

上を見ると、木々の葉っぱを通した光が金色に輝いている。吹く風も少し冷たいけど、山道を歩き温まった体には心地よい。もう、ただそれだけでも日常の喧騒から隔絶していて、ストレスが毛穴から蒸発していくように感じる。

結局週に3回登った円山、言葉では言い表せないけど一日として同じ日がない。3日間とも天候には恵まれて全て晴れ。

天気、とかの問題ではない。山の呼吸が違うというか、表情も違うというか。

生きてるんだな、山。って思った。言葉が拙くて伝えきれないのが歯がゆいけど、同じ山に連続で登ってみたら体感してもらえると思う。

それはもちろん、山に限ったことではないよね。桐谷健太じゃないけどさ、海も山も風も空も生きてて毎日変わっていくんだな。アニッチャ。

可愛いお地蔵さんとリスが円山登山の話し相手

円山には登る途中にたくさんのお地蔵さんが並んでいて、下から1番、2番…と頂上付近の88番まで続いている。散歩をする時には「今何番目だよー。もうちょっと!」ってな具合に進み具合の目安にもなっている。

話によると大正4年(1915年)に八十八箇所霊場としてお地蔵さんが設置されたらしい。

というのも北海道開拓時代、四国からの入植者もたくさんいたらしく四国の八十八箇所を模して作られたということ。

番号は88番までだけど、信仰心の篤い人達によって寄進されてどんどん増えて、今ではたくさんのお地蔵さんが並んでいる。

そのお地蔵さんもそれぞれに可愛いエプロンをしたり手編みの帽子を被ったりと、市民に愛されている様子が見て取れる。

そして運がよかったら、というよりもかなりの高確率で円山登山中にはリスに出会える。

けっこう人懐こくてかなり近くまで寄ってくるし話しかけると反応してくれるので、それもまた円山登山の楽しみの一つ。

30分で高パフォーマンスな景色

秋登山

円山登山のいいところ。それは何と言っても30分の登山からは考えられない高パフォーマンスな頂上からの景色。

札幌の町を一望出来る。天気のいい日には石狩の海まで見えてしまう。

何とかは高いところが好きって言うけどさ、いこほんとに高いとこ好きだわー。

街や景色を俯瞰できる場所に来ると、自分を取り囲む困難な状況とか環境さえも俯瞰できるような気がして。

北海道にはなかなか帰れないけど、これからの季節は北海道の深まる秋の凛とした空気が恋しくなるなー。