ブログ更新が数か月滞っていたここ最近。
そろそろブログ更新しないと…と思いながら悶々と日々を過ごしていた。
【序章】わさおとの攻防
『仕事が休みの日に、とっとと家事を片付けてブログ更新を…』と思うのだが天体の位置が悪いのか、最近いこの休みに旦那わさお君の休みが被ってくる。
いこは基本ひとりでぼーっとする時間が必要なタイプの人種なのだが、わさお君は違うようだ。
休みとあらば、その休みを充実させるべくぎゅうぎゅうにスケジュールを詰め込もうとする。
映画、スーパー銭湯、行きつけの飲み屋など、時にはそのコラボレーションでスケジューリングして誘ってくる。
ありがたいにはありがたいけど…
いこは放っておいてほしいのに…。
そんな休日が続き、やっとわさお君が朝からいない休日を迎えられるはずだった今日、朝7時には起きて仕事に出ると言っていたわさお君が8時半になっても寝ている。
「なんでおる…?じゃ、邪魔や…」
家ではブログ更新は無理だなと思ったので家事をちゃっちゃと済ませ、近くのファミレスでゆっくりしようと支度を始めると熊のような様相でのそのそっとわさお君が起床。
一緒に朝ごはんを食べにファミレスに来るという。
「………あああぁあ…邪魔や…」
朝ごはんを食べ次第去ること、いこの邪魔をしないことを条件にお供することを許し、一緒にファミレスに。
家の近くのファミレスはたくさん席のある大きな店だが、コンセントがある席が二席しかない。
一つは二人がけの小さな席でコンセントの差込口がひとつしかなく、両隣に席がありパーテーションもなくプライバシーが守られない心許ない席。ブログ更新や長居には向かない席だ。
もう一つが一番奥の窓側の席、角席なので窓と壁、パーテーションに囲まれ個室さながらのVIP席、いこの狙いの席なのだ。
入店時にはVIP席に一人の女性が座っているが、ご飯はもう既に食べ終えている。
今はコーヒーを飲んでいる。席を立つのは時間の問題だろう。
いことわさお君は案内された席に座る。
VIP席と同じ並びの窓際、いこは女性が席を立ったらわかるよう席が見える方の椅子に。
注文と同時にあの席が空き次第移動させてくださいと一言伝えてておく。
これで、わさお君が去った後はゆっくりとコーヒーを飲みながらブログ更新ができるのだ。
やっと来たこの日!!!
本来であればブログなどはみんな日々の合間合間にうまく書いているんだろうが、数か月もブログを放置してしまったいこには家ではなく場所を変えて「やるぞ!」という気持ちを行動に移さなければならないくらい腰が重くなっていたのだ。
【9:45 攻防戦始まる】
入店9時半過ぎ。注文時、時間は10時前。
女性は先ほど脱いでいた白のダウンコートを着ている。
よし。ご飯を食べ終える頃には席を移れるようになっているだろう。
朝ごはんを食べ終え、コーヒー飲み飲み、なんだかんだわさお君もだらだら11時くらいまではいて、時間になり去っていった。
【11:00 長丁場を覚悟】
かの女性はまだ動く気配はない。パソコンなどコンセントが必要なものをつかっている様子はない。
VIP席の脇にトイレがある為、用を足しがてら女性の様子をうかがう。
なんと………彼女は何か参考書のようなものを開いている。
むむ、白のダウンコートは脱がれ膝にかけられている………。
………これは長丁場の戦いになりそうだ。
いこは今日の日を充実させるべく、たくさんの本、スマホ、パソコン、手帳など様々なものを大きなリュックに詰め込んで挑んできているので、多少の長丁場の戦いに耐える自信はあった。
いこは本を読みながらも彼女の動向の観察に余念がなかった。
そのおかげで本も頭に入ってこない、ブログなんてましてや書けない。
パソコンもWi-Fiも十分に電池があるのに、『あの席』に執着し始めているいけない自分を自覚していた。
【13:00 ポテト】
そして時間はお昼のピークタイム。
いこもただただ朝食についていたドリンクバーのみで居座る迷惑な客にはなり下がりたくはない。
スイーツかポテトか悩んだ末にまずはポテトを追加注文。
先ほど席の移動について伝えた店員も交代の時間なのかいなくなっていたので、注文をとりにきた店員に改めて空いたら席の移動ができるようにお願いしておく。
いい加減、VIP席のことは忘れてブログ執筆に時間を割かなければと思い始めていたので、ポテトを食べ終えたらやろう!!と決めて、ポテトを食す。
だが、敵も強かった!!!!
敵は何かランチセットのようなものを頼んだようだ。
湯気の出るプレートを店員が運んでいる。
しっかりとランチまで食べるとは…!
店への貢献度で言えばサイドメニューのポテトよりもランチの方が勝っている。
まずここでポイントを先取されてしまった。
もう既にいこの頭の中はブログを書くことよりもあの席を勝ち取る事だけになっていた。
【15:00 ガトーショコラ】
いつまで経っても席が空かない。
そんなフラストレーションにより、ついにいこはブログを書き始めた。
そう。このブログだ。
現在既に15時。
彼女は少なく見積もっても6時間は席をキープしている。
ピークタイムも過ぎ、いこと、彼女の席以外はほぼ空席だ。
いこは今戦いに敗れようとしている。そう、Wi-Fiの電池がもうエンプティに近いのだ。
パソコンも充電してくださいと暗くなっている。
この記事を公開したら…
いこは…
いこは…
家に帰ろうかな…
と思ったが、席はもういいとして敵がいつまで粘るのか見届けたくなってくる。
プライドは全く許さないが、もう一方のコンセント席に移動をお願いする。
Wi-Fiもパソコンの充電も限りなくゼロに近い。一刻も早く電源を確保せねば。
奇しくもその席は窓側の席の通路を見渡せる席である。一番向こうのVIP席もよく見えるのだ。
充電は足元にある。コンセントに接続するために頭をかがめたら隣の席に頭を強打。
…いこはいったい何やってるんだろう……。
とりあえずパソコンの電源を確保し、スマホやWi-FiはパソコンのUSBから充電することにする。
電源を確保し、少し心が落ち着いたいこはガトーショコラを注文。
甘いものを食べて尖った精神をなだめる。
【16:00 唐揚げと第三の刺客】
現在16時。この時間はオフタイムで席もまばら。
そして、パソコンを持ち込んだいこと同じような人もちらほら。
そんな中第三の刺客が現れる。
黒縁眼鏡をかけ、おおきなリュックを持った男性が入店。
そのファミレスはピーク時以外は「お好きな席へどうぞ」スタイルをとっている為、彼は入店するなり席を物色している。
いこは一目でコンセントラー(今造った言葉だが、コンセント目当ての客)だと見抜く。
何故ならいこの席の下のコンセントと奥のVIP席のチェックをしたからだ。
彼もここの店のコンセントの数と場所を把握していて長居を目的として来店したのだろう。
空いていないとわかるとVIP席の隣の窓際席につく。
彼もVIP席の監視がてらかVIP席を向く方の椅子に座る。みんな考える事は一緒だ。
いこは彼に言いたい。
「そいつはやめとけ。相当な強者だ。」
彼はしばらくするとパソコンをリュックから取り出した。やはりコンセント目当てだ。
いこは心の中でなおも続ける。
「何時間いたと思ってるんだ。そいつはてこでも動かない気だぞ。君のようなぽっと出が敵う相手じゃないんだ。」
【17:00 お会計】
時間は17時をまわった。
いこはとっくにこの戦いをおりてオブザーバーとなり下がった。
後は新参者の行く末を見守りたいが、もう帰りたい。
最後に唐揚げを食べて帰ろうと思う。
と、17時18分。
彼女がかばんをなにやらごそごそしている。そしてトイレに向かった。
とうとう、帰るのか。その前のトイレと言う事なのか…。
固唾を飲んで見守る中、彼女が席に戻ってくる。
白いダウンコートを手に取り……
丁寧に畳みなおした!!!
帰らんのかーーーーーーーい!!!
いこはなんだか清々しい気持ちにさえなって、唐揚げを平らげた。
いこは帰ります。
黒縁眼鏡君にバトンタッチ、後は頼んだ。
こんな攻防戦が毎日繰り広げられてるのかな…………。
と17時33分!
白いコートは中に着る薄手のダウンだったようだ。
おもむろに彼女はカーキ色の厚手のコートを向かいの席からとり、羽織ってさっさと帰っていった。
戦いにも負けて、先に帰られて…いこの不毛な一日はこうして終わっていったのでした。
お会計3236円也。