もたない男 、中崎タツヤ氏の持たなさのレベルがえげつない

もたない男




先日図書館で中崎タツヤさんという漫画家の方の『もたない男 (新潮文庫)』という本を借りた。

わさこは断捨離実践者なので、シンプルに暮らす人や断捨離に関しての本など興味を惹かれ、たまに読む。

その本は中崎タツヤさんの持たない暮らしの内実と、持たない暮らしに直結するマインドを各章にわけて紹介してある。

最初の数ページには仕事場の写真がカラーで紹介されており、そのシンプルさは驚くべきものだった。

不動産屋に内見に連れてきてもらったのかと錯覚する程の何もなさ

不動産屋に内見に連れてきてもらった部屋のようにほとんど何もない。

今までいろいろなブログや本でミニマリストの部屋や、断捨離された部屋など見てきたが、こんなに何もない部屋は初めて見たと思う。

置いてあるものも数えられる程度。

枕、寝袋、机、椅子、筆記用具、国語辞典、コップ、頭痛薬、歯ブラシ、歯磨き粉、たわし、携帯ウォシュレット、トイレットペーパー、トイレ用洗剤、ゴム手袋、掃除機、ごみ袋、サンダル。それに取り外して押入れにしまってあるコンロは備え付けの為捨てられない。エアコンのリモコンは備え付けのものであり時計代わりにもなっている。

写真と本の内容から見ておそらくこれだけである。数えて20以下。すごいな。

この『もたない男』という本は『断捨離』という言葉が流行語になった2010年に出された本のようだが、更に遡ること10年前頃前から彼は少しずつモノを捨て始めたようだ。

捨てたものたち、こまごま捨てていく様がすごい。

最初はパソコンや固定電話などもあり、現代の便利さを享受しながら漫画家としての仕事をしていたようだが、ある時を境にどんどんとモノを捨て始めた。

それからというものあらゆる無駄を削ぎ落とすかのようにライト、カレンダー、ウォシュレット、浄水器。背景や漫画の作画資料など生活になくてはならなそうなものまでどんどん捨てていく。趣味で集めたオートバイ4台も廃車に。

無駄なものを受け取りたくない為、買い物しても袋は受け取らず、レシートもすぐ捨ててしまう為に万引きに間違えられた経験もあるという。

本は厚さにして2~3ミリ読んだら、その部分を破り捨て、糊部分も丁寧に取り除き、表紙を閉じると破った分はみ出す部分も丁寧に切り取っていくらしい。表紙は何故か最後まで残し、読み終わったらすべて捨てる。

以前は本棚も持っていたが、本の高さが揃わないのが気に食わなく、高さを切りそろえて本棚に並べて悦に入っていたようだ。そんな本棚や本も今は捨ててしまったという。

少し、いやかなり病的ともいえる。

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捨て始めたきっかけと、もともとあった捨て気質

一番捨てにくいものは思い出の品とよく言われるが、上京してからの母親の手紙を捨てたことが、断捨離生活にはいるターニングポイントになったという。

東京で売れない漫画家生活をしている時に来る母親からの手紙は無意識にプレッシャーだったようで、ある日思い切って捨ててからものを捨てる事に躊躇しなくなった。

それでも生まれ持った素質みたいなものはあったようで、中学の時に各科目ごとにノートを作るのがとても嫌で、全科目をまとめられるバインダーノートにしたところとてもスッキリしたというエピソードから、もともと整理整頓、無駄が嫌いな性格というのがわかる。

スッキリ病と名付けている。ものを捨てる事は主義でも美学でもないし、捨てる事がカタルシスになっているわけでもないとのこと。

ただただ、スッキリしたい。鬱陶しい、煩わしいという気持ちをなくしたいだけと、中崎タツヤさんは綴っている。

そんな性格の為、女性の服のフリルなんかも見ると、取り外したい欲求にかられるらしい。

夫婦でお遍路をしたことがあり、荷物が重くて大変だったのでどんどん捨てた。パンツは2枚でいいという結論に至った。

もたない男を読んで。

わさこも持たない生活に憧れているので、シンプルな生活術みたいな本や断捨離のススメ的な本はよく読む。

今回は実用書ではなく、エッセイ。その人個人の捨てマインドを知る本であった。

わさこは中崎タツヤさんの漫画を読んだこともなければ、顔も見たことがないが、この本を読んで思った事がある。

それは、中崎タツヤさんの捨て気質の根底には諦観が流れているような気がするのだ。

漫画もそれほど売れなくていい。食べていけるだけでいい。無欲の人なのだ。

インターネットで顔写真がないか調べてみたが、全然ない。

勝手な想像だけど、表情があまりなさそうな感じ。本を読んでいて感情の起伏があまり感じられない。

すごく低いところで安定しているような感じ。

でもエンターテイメントとして漫画を描いていた人だから、きっとうら寂しさの中に笑いを見出す独特なユーモアを持っていたんだろうな。

彼は岡山県玉野市に住んでいたことがあるらしく、わさこと同じなので個人的に少し親近感が湧いた。

わさこも3か月に一度断捨離月を設定して、定期的に断捨離をしている。

でも、このレベルでは全くない。

気を抜けば部屋が散らかるくらいのモノを持っている。

中崎タツヤさんのレベルにはなろうとは思わない。

が、そこまで到達した人にしかわからない心持ちには興味あるけど。

今回この本に出逢ったのも何かの縁なので、今度中崎タツヤさんの漫画を読んでみようと思う。

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中崎タツヤさんについて。

1955年愛媛県西予市生まれ、愛知県育ち。

漫画家。競輪が趣味。既婚。

代表作『じみへん』。1989から2015年までビッグコミックスピリッツにて連載された15コマ漫画。

田舎暮らしに憧れ岡山県玉野市に移住した経験がある。

無人島に何か持っていくとしたら?→鉈(なた)

2015年8月、還暦を機に断筆。

2016年、第20回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞。

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